2025年12月27日、
ヒルクライム講座を開催しました。
今回のテーマは、
ヒルクライムを「感覚」ではなく「理解して再現できる技術」にすること。
特定のレース対策に留まらず、
ヒルクライム全般、そして富士ヒルクライムを想定した内容を、
理論と実走の両面から深く掘り下げました。
【導入】ヒルクライムとは何か?
講座の最初にお伝えしたのは、この一言。
「ヒルクライムは、頑張った人が勝つ競技ではありません。」
頑張りすぎた人ほど、後半に必ず失速します。
そしてその失速は、単に脚が止まるだけではなく、
- 呼吸が乱れ
- フォームが崩れ
- メンタルも同時に崩れていく
という形で現れます。
▶ 今回の講座の目的
「最後まで“同じ走り方”で登れるようになること」
これを軸に、すべての講義と実走を構成しました。
講義① ヒルクライムの正体を理解する
ヒルクライムは、次の3つの要素で成り立っています。
① フィジカル(ベース)
- FTP
- 有酸素能力
- 筋持久力
これはあくまで「土台」。
脚力が同じでも結果が変わる理由は、ここではありません。
② テクニック(使い方)
- ペーシング
- ケイデンス
- フォーム
- 呼吸
同じ脚力でも、結果が大きく変わる部分です。
③ メンタル(耐え方)
- きつさの受け止め方
- 距離・時間の分解
- 周囲と比較しない力
特に長いヒルクライムでは、
この要素が後半の走りを大きく左右します。
▶ 初心者が陥りやすい失速サイン
- 周りにつられて踏む
- 序盤で「今日はいける気がする」
- ケイデンスが落ちる
- 呼吸が浅くなる
これらはすべて、失速の前兆です。
講義②実走メインテーマ
「淡々と踏み続けるヒルクライム」
今回のヒルクライム講座でメインに行ったのは、
富士ヒルに代表される“長時間ヒルクライム”を想定した実走トレーニング。
速さを競うのではなく、
最後まで同じ走り方を保つことを目的に、
段階的にテーマを変えながら何本も登りを走りました。
実走の共通ルール
- ペダルを止めない
- 一定強度を守る
- 呼吸が乱れたら、迷わずペースを下げる
この「当たり前だけど一番難しいこと」を、
体で理解してもらう構成です。
① まずは“基準”を作るヒルクライム
最初は完全フリーペースで1本。
- いつも通り登る
- 指示なし
- パワー・心拍・呼吸・感覚を覚える
目的は、
「今の自分は、普段どう登っているのか」を知ること。
この1本があることで、
後の走りとの違いがはっきり見え、
「自分は前半でどれだけ使いすぎていたか」に気づく人が多く出ました。
② ペース一定ヒルクライム
次は、
出力や速度ではなく“感覚一定”で登る練習。
- きつすぎない強度を指定
- 後半も同じ呼吸、同じ踏み心地
ここで見えてくるのが、
- 前半の突っ込みすぎ
- 失速が起きる本当の理由
ヒルクライムの基本は、
「我慢できるペースを守ること」だと体感してもらいます。
③ ネガティブスプリットヒルクライム
前半をあえて抑え、
後半を少しだけ上げる走り方。
多くの人が、
- タイムが良くなる
- 後半の苦しさが減る
という結果に。
「我慢=遅い」ではない
という理解が、ここで一気に深まります。
④ ギア縛りヒルクライム
軽めギア固定
- ケイデンス高め
- 回して登る感覚
→ 呼吸が安定し、脚が残る感覚を体験。
重めギア固定
- あえて踏む
- どこで脚が終わるかを体感
→ 「踏みすぎると何が起きるか」が明確に分かります。
⑤〜⑧ フォーム・身体の使い方を意識した登り
- ダンシング限定区間
- シッティング限定
- 呼吸だけに集中
- 視線・肩・腕の脱力
ここでは、
脚以外がどれだけ走りに影響しているかを確認。
特に、
- 上半身の力み
- 視線の位置
- 呼吸の浅さ
が、失速の原因になっていることを多くの参加者が実感しました。
⑨ レース想定ヒルクライム
「もしこれがレースだったら?」
- スタートの入り方
- 仕掛けるか、乗るか
- 周りに抜かれた時の判断
さらに、
- あえて前に出ない
- 人のペースを使う
- 抜かれても反応しない
富士ヒル特有の“集団ストレス対策”も実走で体験。
👉 実はここが、本番で一番差が出るポイントです。
⑩ 失敗前提ヒルクライム
あえて少しオーバーペース。
- どこで崩れるか
- どんなサインが出るか
を体感することで、
「これ以上はダメ」というラインがはっきりします。
⑪ コーチ並走・後方チェック
コーチが横・後ろから並走し、
- フォーム
- ケイデンス
- 力み
をチェックしながら声かけ。
「言われた瞬間に楽になる」
そんな場面が何度も見られました。
⑫ 言語化タイム(最重要)
毎本、短い振り返り。
- 何が楽だった?
- 何がキツかった?
- 次はどう変える?
走って終わりにしない。
これが、今回の講座で一番大切にしたポイントです。
まとめ
同じ坂でも、
テーマを変えるだけでまったく別の競技になります。
今回の実走では、
「速くなった」よりも
「分かった」「再現できそう」が確実に残る構成を意識しました。
ヒルクライムは、
根性論ではなく、
理解と再現性のスポーツ。
そのことを、
身体と頭の両方で持ち帰ってもらえた講座になりました。