イナシキライドフォトスポット探訪(前半)

イナシキライドフォトスポット探訪(前半)

3月に開催される「イナシキライド・フォトサイクリング」のスポットを下見がてら探訪してきました。総距離56kmを2時間半程度の短い時間で回りましたので、それほど多くのスポット、エリアではありませんが、イベントご参加の方は攻略方法のご参考に、また参加を迷っている方には少しでもイナシキライドの魅力を感じていただれば幸いです。
なおこの日に回ったスポットはあくまでも筆者がゲームマスターからこの辺は押さえたほうがいいと聞いたポイントを中心に回っております。当日のスポットと必ずしも一致はしていませんのでご了承ください。

稲敷市のエリア概要、行程

稲敷市は平成の大合併により2005年に誕生した市。江戸崎町、新利根川町、東町、桜川村の4つの町村が合併したため、今も4つの地域が市内のエリアとして残されている。市役所や江戸崎商店街がある市街地エリアの江戸崎、霞ヶ浦に面しておりりんりんロードが通っている桜川、利根川を挟んで千葉県に接する東地区、市内を走る新利根川がそのままの地名となっている新利根地区。総面積は205㎢、外縁を一周すると80km程度になるだろうか。
関東平野に代表される真っ平な地形で、山らしい山はなく、江戸崎地区に入ると20~30m程度のアップダアウンがある程度。その分風の影響は強く受けるため、当日の風向きを見ながら回る順番を考えることもポイントだ。

出典:稲敷家族(https://www.inafami.jp/sp/page/page000300.html

今回の行程は稲敷市役所をスタートし、桜川地区から東地区を大回りしながら、市のど真ん中に位置する大杉神社を経由し、江戸崎商店街を回りながら市役所へ戻る、約56kmのコースとした。

スタート~霞ヶ浦湖畔

イナシキ市役所をスタートして少し東へ走ると道すがらお寺(大聖歓喜天)を発見。今日の無事なライドを祈って参拝する。このようにちょっと見つけたスポットに気軽に立ち寄れるが自転車の醍醐味。
古渡橋を渡ると霞ヶ浦に出てりんりんロードを走り始める。この日は風はあるものの天気が良かったためロードバイクやクロスバイクで走っている人も多数。ブルベだろうか、ビブスを付けて走る人も何人か見かける。
古渡橋から和田公園(イベント会場)までは約10km。途中に最近整備された「西の洲岬休憩所」があったため、自転車を停めて少し休憩。対岸には筑波山が見える絶景ポイント。自転車ラックやベンチの他、サイクリングマップの看板が設置されているため、どこに行くか戦略を練るのにもちょうどいいスポットだ。

和田公園~妙義の鼻

霞ヶ浦はワカサギほはじめ豊富な水産資源を有しており、湖岸にはたくさんの佃煮店が並んでいる。昔に比べるとだいぶ減ってしまったそうだが、稲敷にも伊藤商店や高須水産などの佃煮店がある。どちらの店舗も和田公園にほど近い、りんりんロードから少し入った場所にあるので、サイクリングついでに立ち寄ってみてはいかがだろう。
イベント会場でもある和田公園は市民の憩いの場として親しまれており、春にはチューリップ畑がきれいとのこと。会場となる運動場横には大きい無料駐車場も整備されているので車で来る参加者には朗報。
和田公園を通り過ぎ、稲敷大橋に差し掛かると望遠レンズを抱えた通行人とすれ違う。ぶつかったら大変なのでここスピードダウン。「妙義の鼻」と呼ばれる湿地帯で野鳥観察スポットで有名とのこと。湿地帯の中心には観察小屋も整備されており、グラベルやMTBなら中まで入っていけそうだが、野鳥を驚かさないようやめたほうが無難か。
稲敷大橋を渡りさらに自転車を進めるといよいよ稲敷市というか茨城県の端、北利根橋に到着。K-1(カスイチとも)をするなら橋を渡って潮来方面へ抜けるところだが、今回はここから南西へ舵を切る。その前にギリギリ県内か県外かよくわからない?新横利根閘門で写真を一枚。ちょうど川の中央に県境があるのでここが茨城と千葉の境目。閘門(こうもん)がどちらの県に属しているのかは筆者もわからないので、ゲーム上のスポットになるかどうかは判断が分かれそうだ。

伝説の弁当自販機「あらいやオートコーナー」

ここからは横利根川を南に進み、文化財指定の横利根閘門を目指すが、その前に腹ごしらえをするべくサイクリストにも有名?なあらいやオートコーナーへ立ち寄る。
日本国内でわずか2台しか稼働していないとされるお弁当の自動販売機。グーグルマップにもしっかり掲載されているちゃんとしたお店で目につく緑色の看板もあるため迷うことなく到着する。しかしながら正直入るのを迷ってしまった。

店構えはお世辞にも洒落ているとは言えず、むしろ空き店舗か?と思える設え。お客さんの姿は確認できなかったが、店前のごみ箱には空の弁当箱が捨てられているため、稼働はしているのだろう。
勇気を振り絞って入店すると、目に飛び込んできたのはだいぶくたびれた自販機が3台。しかもうち2台は故障中らしく、稼働しているのは一番劣化が激しい真ん中の台だけのようだ。これに食べ物が入っているのはちょっと…。と心の声が漏れてくるが、真新しい紙に印字された「値上げのお知らせ」を見るに、ちゃんと稼働しているのだろう。ちなみに値上げ前は330円、今が350円だ。
その他の注意事項は以下のとおり。①弁当は全品350円(やきにく、ひれかつ)、②500円玉は使えない、またお札も使えない、③商品は都度取り出すこと、④売り切れランプがつかない。なお、外に飲料自動販売機が置かれているため、100円玉がない場合は自販機で両替をするのが暗黙のルールのようだ。
筆者は運よく?小銭を持っていたので350円を投入して「やきにく弁当」のボタンを押す。すぐに下からゴトンという音がして受け台に箱が落ちてくる。
弁当はラップで包まれ、緑色の紙で簡易包装されている。自販機はあくまで保管しているだけのようなので衛生面で心配はなさそうだ。そして何より温かい。自販機の小窓には後付けの温度計がついており、デジタル計は58を表示している。この日は1月にしては暖かったがそれでも外は1桁の気温。暖かい食事はなにより体力を回復させてくれる。せっかくなのでこのままここで食事をとることに。店内には会議用テーブルが1本、イスが3脚、また反対側には懐かしのマージャンゲーム機が2台(不稼働)。

肝心のお弁当はというと、ザ・シンプル。パックには白飯と豚焼肉、ひじき昆布が添えてあるだけ。それでも値段設定を考えれば十分か。味もなかなか。甘辛い醤油味の焼肉はご飯が進む。またご飯もふっくらと炊き上げられており、コンビニ弁当とは一味違う〈ちゃんとしたご飯〉だ。
弁当を食べながら店内を見渡すと、テーブル回りも掃除されており、決して不潔ではないことがわかる。テーブルの片隅には「思い出ノート」が数冊。リピーターも多いようでみんなから愛されているのがよくわかる。
正直、万人にお勧めできるものではないが、こういう機会がないと入ることもないだろう。ここはイベントの一期一会と勇気を振り絞って入店してもらいたい。伝説という一言がよく似合う隠れた名店?をぜひ体験してもらいたい。

横利根閘門、遠くには富士山が見える

お弁当でお腹も膨れたのでライド再開。今日のメイン目的地である横利根閘門ふれあい公園を目指す。あらいやオートコーナーは国道51号に面しているので車通りも多いので注意が必要。すぐに側道に入り横利根川沿いに南へ進む。利根川の支線だが、川幅は15mはあるため船舶が止まっていたり、釣りをしている人も見受けられる。霞ヶ浦とはまた違った景色が広がる。
北風を受けながら10分ほど走ると目的地の横利根閘門ふれあい公園に到着。ここもちょうど千葉県香取市との県境になっている。稲敷市は霞ヶ浦、横利根川、利根川と三方が水に囲まれた地形ということがよくわかる。豊富な水が茨城屈指の水田を支えているのだろう。

横利根閘門は1921年完成の閘門(こうもん:異なる水位の河川を船が通行できるようにする施設)。近代遺産として国の重要文化財に指定されている。利根川の本流と支線の横利根川の水位の差を解消し、洪水被害を防ぐことなどを目的に作られており、二つの水門で水位を調整することで船舶の通行がスムーズに行うことができるとのこと。昔ほどではないが、今でも年間1千隻以上のボートや漁船が通行しているのだそうだ。運が良ければ通行しているところが見られるかも?

横利根閘門から利根川沿いに堤防上を進む。ここにはサイクリングロードが設定されているので、見晴らしのよい川べりを西へと進むと、川沿い正面遠くに白く雪に染まった山が見えてくる。日本人なら見慣れた特徴的な山麓。まさかと思いつつも立ち止まってグーグルマップの方位計を出すと、やはりあれは富士山。そう、稲敷からは富士山が見えるのだ。澄んだ晴れの日しか見ることはできないようだが、この日は天気もよくはっきりと雪化粧された山が見える。土手沿いならどこでも見られるが、神崎大橋のあたりがちょうど遮る電線や木々もないビュースポットだと思う。これを見れるだけで今日はなんか得した気分になるから富士山はすごい。

あんばさま総本宮「大杉神社」

稲敷市のほぼ中心に位置する大杉神社は日本唯一の夢結び大明神で有名な神社だ。筆者が訪れた日も1月の最終日曜ということで初詣(にしてはやや遅い?)客が大勢いた。自転車を邪魔にならない場所において境内へ向かうと、きらびやかな麒麟門(きりんもん)に目を引かれる。さらに奥へ進むと割れた土器(かわらけ)がたくさん積み重なっているスポットを見つけた。これは悪縁切りのご利益があるそうで、心の中で呪言(おまじない)を三度唱えて土器(かわらけ)を叩き割るのが作法とのこと。ないに越したことはないが、心当たりがある方は一度試してみてもいいかもしれない(笑)
大杉神社の異名である「あんばさま」は古くは常陸風土記に記された名称で境内にある杉の木もあんばさまと呼ばれている。あらゆる夢がかなうとされる関東屈指のパワースポット。おそらくフォトスポットにもなるのでスポット巡りと合わせて神頼みに立ち寄ってみてはいかがだろう?

今回のコースはここまで。この後は江戸崎商店街を回りながらスタート地点の市役所へと戻った。次回はこの日に回らなかった西側と北側を中心に回ろうと思う。

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